【前回の記事】ではバイナリーの危険性について説明いたしました。では、そのような危険性を理解した上で、バイナリーオプションは投資としてアリなのか、そもそもバイナリーオプションが投資なのか、という議論について行っていきたいと思います。
バイナリーオプションは投資ではない
最初に結論を述べさせてもらえれば、バイナリーオプションは投資ではないと言えます。よくインターネットには「誰でも簡単にできる投資」とうたわれてれますが、適切な表現ではないと考えられます。
なぜ投資ではないと言えるのか、それを考えるためには初めに「投資」とはどういうものか考える必要があります。
投資とは元本の安全性を守られるもの
投資と投機（あるいはギャンブル）という言葉の定義は様々ありますが、ここでは偉大な投資家の言葉から検討してみたいと思います。
「投資とは、詳細な分析に基づいたものであり、元本の安全性を守りつつ、かつ適正な収益を得るような行動を指す。そしてこの条件を満たさない売買を、投機的行動であるという。」
ベンジャミン・グレハム「賢明なる投資家」より
この言葉は世界一有名な投資家であるウォーレン・バフェットの育ての親である、グレアムが述べた、投資と投機の定義に関する一文です。
バイナリーオプションを投資ではないと言える根拠として、「元本の安全性を守りつつ」の部分が挙げられます。それではなぜバイナリーオプションは元本の安全性がないと言えるのでしょうか？それは、バイナリオプションが「マイナスサムゲーム」の一つであるからです。
ゼロサムゲームとマイナスサムゲームとは？
株やFXでは誰かが損失を出した場合、その分の金額はほとんどが誰かの利益となっています。（取引に際し証券会社の手数料などがありますが、限りなく小さいものです。）このように誰かの利益と他の人の損失がイコールになる状況を「ゼロサムゲーム」といいます。
では、バイナリーオプションはどうでしょうか？例えばペイアウトが1.8倍の時、あなたが1000円を賭けても、勝ってもらえる金額は1800円です。2倍じゃないのは取引会社が手数料として取っているからですね。
このように全員の利益の合計より損失の合計の方が多い状況を「マイナスサム・ゲーム」といいます。他の競馬やパチンコなども胴元が取っているのでこれに含まれます。
つまり、マイナスサム・ゲームであるバイナリーオプションでは取引をした時点で元本の保証ができていないため、投資ではないと言えるのです。
宝くじよりよっぽど期待できるバイナリーオプション
ではバイナリーオプションはやめたほうがいいかというとそんなことはありません。バイナリーオプションの魅力は高い還元率にあります。
還元率というのは払ったお金に対してどの程度が返ってくる可能性があるのか、というものですね。先ほどの「ゼロサム・ゲーム」の場合はほぼ100％となります。
バイナリーオプションの還元率は95～97％と言われています。これは競馬や競艇の75％、パチンコの80～95％と比較すればかなり高いほうといえます。
ただ、これは全体の割合ですので負ける人のお金はなくなりますし、その分勝ち続けている人にお金が流れているということです。
では、一番還元率が低いギャンブルは何か、それが宝くじです。宝くじはあらかじめ払い戻しの割合が定められており、高くても50％程度となっています。つまり10000円分買った時点で5000円捨てているのと同じです。
ちなみに、日本人男性の81.4％は宝くじの購入経験があるというデータがありますので、日本人の約5人に4人はほぼ負けが決まっているギャンブルをしたことがあるということです。
しかし、「株とか投資はギャンブルだ！ギャンブルは悪！」という人に限って「夢を買う」といって宝くじを買っています。冷静に考えれば矛盾している行動ですが、これが日本のお金、投資に対する知識のレベルなのです。
結論：バイナリーは為替の入門として適したギャンブル
結論として、投資ではないバイナリーオプションは長期的に自分の資産を安定的に管理し、増やしていくために適した手段ではないと考えられます。しかし、還元率の高さに加え、テクニカル分析といった自己努力の入る余地が大きく存在する点では優れています。
また、為替のレートを利用することからFXをやっていきたいと考えている方の入門としてはちょうど良いです。あくまで自分の余剰資金で為替について勉強しながら楽しむものだと捉えるとよいかもしれません。