「目標設定」がもたらすパフォーマンス~行動実験から学ぶ①

あなたは今の仕事やプライベートにおいて、自分がやりたいことや、やらなければならないことに一つ一つ目標を設定していますか?

もしあなたが筋トレを続けたいと思ったとき、逆にダイエットしたいと考えたとき、上司から仕事を任されたとき、いろんな場面で目標設定をしていないのであれば、あなたは確実に損していると言えます。

なぜなら「目標を設定すること」そのものが結果に影響を及ぼすことは、とある心理学者の実験で証明されているからです。

今回のコラムを読めば、明日からあなたも全てのことに目標を定めたくなると思います。

たった1つの指示で変わった木材輸送

なぜ目標は人を変えるのか、その話をするために冒頭で紹介した実験を解説しましょう。

あるところに木材を運送している業者がありました。この実験では初めに、その会社のトラックがいつもどの程度の積み荷を載せているか調査しました。その結果、法律で定められた上限の積載量の約60%しか積んでいないことがわかったのです。

この業者に勤めている人に聞くと、今までは「積み荷をどれくらい積めばよいか」という明確な指示がなかったということでした。

しかし本来であれば100の木材を載せられるところを、60しか載せずに走っている訳ですから、無駄なコストがかかっていることになります。

そこで今度はこの業者の中で「積載量は上限の94%にするように」という具体的な数字の指示を出しました。

その結果として、9か月後には1台のトラックに木材が上限の「90%」まで積まれるようになったのです。

当初の60%しか積まれない状況から1つの指示を与えただけで、大きく改善したのです。

願望?理想?それは目標ではない

今回紹介した実験は私たちに重要なポイントを示してくれています。それは「『具体的かつ難しすぎない』レベルの目標が出されることで、人はやる気を出す」ということです。

例えばあなたが教養を得たいと思って、読書する習慣をつけたいと考えるとしましょう。しかし、そのうちきっと読書をしなくなる状況は2つあります。

1つ目は「確実に達成できない目標を立てる」ことです。目標がもはや手の届かない願望になっている状態です。

例えば「1日2冊、月間60冊を読む」という目標をいきなり設定しても、疲れている日は無理、という形になり、そのうち読書自体をやめてしまうでしょう。

2つ目は「何も目標を立てない」ことです。この理想的な状況を考えるだけで止まっている人が大変多いです。

こちらでは「本をたくさん読もう」という目標を設定してしまいますが、これは具体性が全くありません。その結果、達成するために努力しようとしない状態に陥ります。

つまりあなたのパフォーマンスを最大化させるためには、「少し難しいけど可能な具体的目標」が必要なのです。この「少し難しい」というのがミソなのです。

「少し難しい」があなたの選択肢を増やす

今あなたが一切読書をしていないとすれば、「1週間に1冊」というように少し高めの目標を設定することが重要になります。

今のままでは設定した目標は達成できないが、手を伸ばせば届きそう。この距離感によって、あなたは無意識のうちに達成するための選択肢を増やそうとします。

例えば本を読む時間のために、「スマホゲームをやめる」や「少し早起きして早めの電車に乗る」といった選択肢が考えられます。

そして様々な選択肢が挙がることで、「出来ることをやらないのにもったいない」という気持ちに変化します。これがあなたが変わる原動力となるのです。

目標は今のあなたの感情を切り替えさせてくれる即効薬と言えるのです。今まで何となくでやっていたものに数字を設定してみてはいかがでしょうか?

(参考文献)池田貴将『図解 モチベーション大百科』