老後に一定のお金を受け取り続けることのできる年金制度。
しかし最近では、現在の老人と同じような金額の年金を、今後私たちがもらい続けることができるのかといったネガティブな話題を耳にすることもあるかと思います。
そもそも年金とはどのような制度なのか?どんな種類があるのか?そしてこの制度自体、破綻する可能性はあるのか?
そういったところに焦点を当てて記事を書きました。
目次
1.国民年金と厚生年金、年金には2種類ある
年金には国民年金と厚生年金の2種類があります。
「老後受け取れるものが年金である。」程度にしか、年金についての知識がない方も少なくないかと思います。
そこでここではまず、この2種類の年金について解説していこうと思います。
2.国民年金とは?
国民年金とは基礎年金とも呼ばれていて、20歳以上60歳未満の国民全員が必ず加入しお金を払い続けることで、原則65歳以降に受け取りができるといったものです。
誰でも入ることができて、誰でも受け取ることができます。
- 対象者は国民全員
- 20歳以上60歳未満でお金を払い続け、原則65歳以降に受け取り開始
- 最低10年以上の支払いをして、受給可能
- 受取り条件は3種類ある
・どのくらいの期間、いくら支払うの?
国民年金をすべて受け取るためには、20歳から60歳までの間、毎月一定のお金を支払い続ける必要があります。
しかし、40年間支払い続けなけなくても国民年金は受け取ることができます。
平成29年7月末までは、最低25年間お金を支払わないと、国民年金を受取ることができませんでした。
しかし、平成29年8月より最低10年間保険料を支払うことで、受け取ることができるようになりました。
毎月支払う額は年によって変わりますが、年々上昇している傾向にあります。
また保険料の上限が平成29年以降、16,900円となりました。
平成30年現在は、月額16,340円となっています。
・いついくら受け取れるの?
65歳以上で毎月受け取ることができるわけですが、具体的にいくら受け取ることができるのでしょうか?
以下の式で、平成30年現在月間に支払われる金額を計算することができます。
779,300円×加入期間月/480÷12
つまり、40年間支払い続けていた場合には月間で満額の779,300÷12円。
30年間しか加入していなかった場合には、月間で584,475÷12円しか受け取ることができないということですね。
この一般的な「65歳以上で毎月もらえる」年金のことを老齢基礎年金といいます。
他にも受け取ることができる年金は全部で3種類あります。
- 老齢基礎年金・・・65歳以上で毎月受け取れる
- 障害基礎年金・・・障害者になった場合に受け取れる
- 遺族基礎年金・・・加入者が亡くなった場合に、遺族(子)が受け取れる
障害基礎年金と遺族基礎年金については、65歳以下でも受け取ることができます。
しかし、遺族基礎年金に関しては子供を守ることを目的としているので、18歳未満の子供がいない場合には支給されません。
3.厚生年金とは
厚生年金とは、サラリーマンや公務員の方を対象にした年金です。また企業は従業員が1名でもいる場合、加入することが義務付けられます。
厚生年金は私たちが自分でどこかに支払うものではなく、厚生年金保険料という名目で給与から自動で天引きされています。給与明細を見れば容易に確認することができるでしょう。
また厚生年金保険は、国民年金に上乗せされて支給されます。国民年金の金額に、厚生年金保険の支給額が上乗せされ、その合計金額を受取ることになります。
- 対象者はサラリーマンや公務員の方
- 原則就職中に支払いを行い、65歳以降に受け取り開始
- 最低10年以上の支払いをして、受給可能
- 受取り条件は3種類ある
・どのくらいの期間、いくら支払うの?
厚生年金は、一般的に企業に就職してから支払いが始まります。そのため、企業に属している間に支払いを行うと考えてよいでしょう。
22歳から仕事を始め65歳で定年退職とすると、43年間厚生年金を支払い続けたということになります。
また制度上では、義務教育終了からの支払が可能であり、15歳から70歳までの支払い期間が最大となります。加えて最低でも10年間支払いを行っていれば、将来支給を受けることができます。
厚生年金の支払い料金は国民年金と違って一定ではなく、所得によって大きく異なります。
また基準となっているものに、標準報酬月額というものが存在します。
標準報酬月額とは、毎月の給与の他に残業代や通勤手当などを含めたものとなります。
現在の標準報酬月額は、1等級(88,000)から31等級(620,000)までの31つに分かれています。
この標準報酬額を用いて毎月支払う額を、
標準報酬月額×18.3%/2
として計算することができます。「/2」の部分は、厚生年金は本人と企業で半分ずつ出しあうことから加えたものです。
「18.3%」の部分は保険料率であり、毎年変動しています。
この値も毎年徐々に上昇している傾向にあります。しかし厚生年金保険料の上限に達した理由から、これ以上あがらないとの予想もあります。
・いついくら受けとれるの?
厚生年金も原則65歳以上から受け取ることができます。
厚生年金の受取額の算出は複雑でわかりにくいですが、平成30年での月間受け取りの大体の総額は、以下の式で導きだすことができます。
平均年収÷12×5.769/1000×加入期間(月)÷12
ちなみに平成30年度の平均支給額は147,927円となっています。この金額が国民年金に対して上乗せされて支給されます。
また国民年金と同じように、他2つの条件に関しては65歳を待たずに受取りを開始することができます。
- 老齢厚生年金・・・65歳以上で毎月受け取れる
- 障害厚生年金・・・障害者になった場合に受け取れる
- 遺族厚生年金・・・加入者が亡くなった場合に、遺族(妻、子)が受け取れる
また国民年金と違うところが1つあります。
遺族基礎年金が18歳未満の子供がいない場合には支給されないのに対して、遺族厚生年金は妻である配偶者も受けとることができます。
さて、前編では2種類の年金があること、国民年金と厚生年金の違いについて学びました。
後編は、それぞれとの向き合い方についての内容となっています。
【近日公開予定】