あなたは『ストレス』と聞いてどういったイメージを持ちますか?
おそらくは「できればストレスは少ないほうがいい」「ストレスは健康に悪影響を及ぼす」など、マイナスなイメージを持っているのではないでしょうか。
たしかに、今までは「ストレス」は風邪から心疾患まで、様々な病気を引き起こす元凶であると言われてきました。
しかし、アメリカで行われたとある研究の結果によると、どうも私たちのストレスに対する考え方は間違っていたようです。
実は『ストレス』自体は健康に影響を与えるものではなかったのです。では一体私たちが日々ストレスで苦しんでいるのは何故なのか?それを探ってみましょう。
ストレスに対する考え方が死亡リスクを高める
まずはストレスを考えていく前に、冒頭に挙げたアメリカの研究がどういったものであったかを簡単に説明します。この研究ではアメリカで成人3万人に以下のようなアンケートを行いました。
「Q1.去年どれくらいストレスを感じましたか?」
「Q2.ストレスは健康に害を与えると信じていますか?」
そして、アンケートに回答した人を8年間にわたって追跡調査しました。そして、そのアンケートに回答した人が亡くなったかどうかも確認していきました。
さてこの結果ですが、「Q1」で前年にひどいストレスを感じたと答えた人は、そうでもない人よりも死亡リスクが高かったことが分かりました。
やはりストレスは様々な病気の元凶になっているのではないか、と感じるかもしれませんが、詳しく見てみると原因は全く違うところにあったのです。
上記で高かった死亡リスクは「Q2.ストレスは健康に害を与えると信じていますか?」で「はい」と答えた人々のみが43%ほど高い死亡リスクを抱えていたのです。
言い換えれば、ストレスはあってもそれを害だと感じていない人の死亡リスクは別に高くなっていなかったのです。
つまり、「ストレス」自体が健康に影響を与えているのではなく、本人が「『ストレス』をどのように捉えているか」によって健康を左右されているということになります。
心理はエイズより多くの命を奪う
さらに、この研究から、アメリカ人は年間2万人以上が「ストレスを害と感じること」によって亡くなっているという推定がされます。
そうなるとある年のアメリカでは、「ストレスが体に悪いと信じること」が死因の第15位になり、皮膚がんやエイズ、殺人よりも多くの人々の命を奪っているということになります。
これほど大きな死因になっているとするならば、私たちにも他人事と見過ごすことはできません。大量の情報に囲まれ、仕事に悩殺されがちな現代を生きる私たちはストレスと向き合うことが必要となってくるのです。
ボールは友達、ストレスも友達
私たちは今までストレスを敵視すべき相手とみなしてきました。もちろん、ストレスを受け続けることが健康的に良いものとは言えません。
しかし、上で紹介したアメリカの研究結果は、同じストレスであっても、そのストレスに対する「考え方」が変わると体に与える影響が変わってくるということを示しています。
つまり、一見付き合いづらいイメージを持つストレスでも、そのストレス自体がどういったものかという性質を知ろうとすることで、殺人鬼から友達のような存在に変えることができるのです。
【次回の記事】では『その友達(ストレス)が勇気を与えてくれる』ということについて科学的な根拠も交えつつお伝えしたいと思います。
出典:Kelly McGonigal(著)「スタンフォードのストレスを力に変える教科書 」