あなたが1か月の間、汗水流し大変な思いでやっと手に入れたお給料、多くの方は銀行振込となっていることでしょう。通帳に記帳するときにお金が増えていると嬉しいですよね。
さて、将来のことを考えて、そのままずっとその銀行でコツコツ貯めていこう、と銀行預金で入れている方も多いでしょう。投資とかよくわからないし、ギャンブルとかしないし、銀行が一番安全にお金を守ってくれる、と……。
でもちょっと待ってください。そのお金の保管の仕方、本当に安全でしょうか？いつ、誰が銀行のお金が安全だと保証したのでしょうか？
今回は「あなたの知らない身近な金融制度」について話題にしたいと思います。
お金は保証する（ただし引き出せるとは言っていない）
あなたは、ペイオフ解禁という制度をご存知でしょうか？もしかするとニュースなどで目にしたことがあるかもしれません。
このペイオフ解禁という制度は2005年の4月に施行された制度です。内容としては、銀行などの金融機関がつぶれた場合に、1000万円までは保証されるというものです。さて、これを聞いて、どのような感想を持ったでしょうか？
自分の貯金額は当分1000万円なんか行かなさそうだし、その金額までなら保証してくれる。やっぱり銀行預金は安全なのではないか。そう考えたのではないでしょうか。日本人のほとんどの人があなたと同じように考えて、みんな銀行に入れっぱなしという状況です。
しかし、状況はそんなにおだやかではありません。この制度は1000万円までは保証するとは言っていますが、その枠内の金額だったとしても「いつ引き出すことができる」ということについては触れていないのです。
つまり保証はしているが、すぐには引き出せない。そんな状況が来るかもしれないのです。あなたにも無関係な問題ではないのです。
この話をすると、そもそも銀行が潰れるのか？という方がいらっしゃいますが、では逆に潰れない保証があるのでしょうか？
銀行が潰れない保証なんてどこにもない！
リーマンショックという言葉をご存知でしょうか？？これは2008年の出来事でしたが、最終的にはリーマンブラザーズという会社が倒産しました。このリーマンブラザーズは当時、世界第5位の金融会社でした。世界的な規模の金融会社が潰れてしまう時代なのです。
日本の金融会社は、せいぜい20位前後……日本の金融会社が潰れない理由なんて、誰にも説明はできないのです。
そして、銀行が倒産しない危険性は世界情勢以外からも考えることができます。
本当に安全なら保証限度はいらない
話を「ペイオフ解禁」に戻して考えましょう。
そもそもペイオフ解禁は1000万円まで保証してくれる、あたかも救済措置のような良い制度のようにお話ししましたが、ではこのルールができる以前はどうであったのかをご存知でしょうか？
ペイオフ解禁ができるまで、銀行に預けた預金は「全額保護」が定められていました。つまり全額から1000万円に保証が減っているのです。改正ではなく「改悪」ですね。
ではなぜ1000万円という限度額かできたのか。答えは簡単、「倒産の可能性が出てきたから」です。
銀行が潰れないなら限度額を設定する必要がありません。バブル期までの高成長時代の日本は実際にそうでした。しかし、バブル期以降に経済が低成長時代に突入し、銀行が倒産する恐れが高まったためにこのルールが制定されたのです。
さて、ここまでの話を聞いてもいままで通りに銀行を100％信用できるでしょうか？もちろん銀行に預金することで良い点もあります。しかし、資産のすべてを「何も考えず」に銀行へ入れっぱなしにするということは、何よりもリスクであることを自覚するべきなのです。
そして、知っておかなければいけない自分のお金に向きあうこと、それが「お金の勉強」なのです。