「また続けられなかった……」
資格勉強やダイエット、やろうとして挫折してしまったそんなあなたに朗報です。今回も前回に引き続き「行動を続けるコツ」についてお話ししたいと思います。
前回の記事では、新しく物事を始めたいと思っても続けられないのは、意思の弱さや根性がないからではなく、「続けるコツ」をつかめていないから。そして、何かしたいという行動には、「不足行動」と「過剰行動」に分けられる、というお話をしました。
【前回の記事】をまだお読みでない方はこちらを先にお読みください。
今回はその2つの行動の中で「不足行動」にスポットライトをあてて、まず不足行動の敵は何なのか、そして行動とはそもそもどうやって起こされるのか、について考えていきましょう。
続けられない敵は自分自身ではありません
よくダイエットする人が言う言葉として、「敵は自分の中にいる」というのがありますが、これは正しい表現ではありません。なぜなら、決めたことを続けられないというのは、あなた自身に問題があるわけではないからです。
ひたすら練習を積み重ね、歴史的な大リーガーになったイチロー選手も、何度も失敗を繰り返して電球を発明したエジソンも私たちと同じ人間なのです。
もちろん身体的能力や思考力という点では個人差がありますので、彼らと全く同様の結果が得られるということは考えにくいですが、「続ける」ということに関しては彼らと同じことができるはずです。
では、物事を続けるときに本当の「敵」になるものとは何でしょうか?それは、「不足行動の代わりにやってしまう行動」すなわち「ライバル行動」といわれるものです。
ライバル行動は必ず存在する
「ライバル行動」とは具体的にどういうものなのでしょうか。ここで、あなたが何かの勉強をしなければならないときのことを思い出してみてください。
例えば、小学生のときにやった夏休みの宿題を考えてみましょう。8月31日までにやらなければいけないのに、結局最後までずっと遊んでいませんでしたか?
本来は宿題をやらなければいけない時間に、「友達と遊びに行く」「テレビゲームで遊んでしまう」ということをやってしまっていたはずです。このように、本来やりたいことをやろうとしていた時間の代わりにやってしまう行動のこと、これが「ライバル行動」となります。
そしてこれは子供に限らず、大人になっても同じことが言えます。例えば夏までに引き締まった体にするべく、寝る前に体幹トレーニングをやろうと考えたときのライバル行動は「疲れてそのままベッドで寝てしまう」かもしれません。
また、スキルアップのために毎日資格の勉強を電車の中でやろうとしたときのライバル行動は、「スマホのゲームを遊んでしまう」かもしれません。
もちろん人によってライバル行動は異なります。しかし、新しく始めたことを続けられないのは、何らかのライバル行動が存在しているから、という事実は全員に共通して言えることなのです。つまり、ライバル行動が働いてしまうことを防げれば、自分のやりたいことが実行できる、ということになります。
さて、自分自身のやる気がないという抽象的な話から、具体的なライバル行動を抑制する、というように倒すべき敵というのが明確になったと思います。
しかし、「その我慢するのが一番難しいのに」という気持ちはあることでしょう。次にそもそもどうしてライバル行動が行われるのか、ということについて考えてみましょう。
条件→行動→結果という流れをつかむ
行動は必ず「条件」→「行動」→「結果」という流れで行われます。これはどんな行動についても言えます。具体的に例で考えてみましょう。あなたがエアコンの電源を入れたとします。
この行動は、「部屋が暑くて不快だから」という条件によって実行されたと言えます。そして、「エアコンによって涼しくなり快適になる」という結果をもたらしました。
そして、この条件と結果の関係をうまく使えば、自分に対しても、さらに言えば他人に対してでも行動を起こさせることができるのです。
例えば、個室にいるAさんに「エアコンの電源を入れる」というアクションを起こさせたいと考えましょう。すると、先ほどの行動から考えるに「この部屋は暑くて不快だ」と思えば行動に移すと考えます。そうするのであれば、ストーブなどで部屋を無理やり暑くさせれば良い訳です。
一方、結果の方から行動をくすぐるために、部屋にあるエアコンのCMを流してあげて「エアコンをつければ涼しい」というイメージを与えてあげれば、より行動に移しやすくなると思います。
このように行動というものは、その条件や結果を一緒に考えることでコントロールすることができるものなのです。それでは、具体的にどう行動をコントロールしていけばよいか、ということについて、次の記事で具体的な方法を考えていきましょう。
(参考文献)「『続ける』技術」:石田 淳(フォレスト出版)