証拠金は取引を保証する

投資家というと1000万、1億円という0が何個付くのかわからない金額を運用するように思っていませんか?しかし、実際に投資を始めることの敷居が現在ではとても低くなっています。

今回は先物取引を行う上で切っても離せない「証拠金」の概念について説明し、実際に始める場合はどれくらい必要で、取引するとどのようにお金が動いていくのか、ということを一緒に理解していきましょう。

先物取引の基礎知識についてのページをまだお読みでない方は、【こちら】からお読みください。
先物取引の基礎③

証拠金は取引するための担保

「証拠金」とは一言で言ってしまえば「担保」のようなものです。つまり、「日経225先物」や、日本円やドル、ユーロといった外国の通貨を売買する「FX」で取引する際に、投資家が前もって準備しておく必要がある現金等のことを指します。

なぜ証拠金が必要なのか?それは先物では普通の取引よりも利益の得られる額を大きくするため、実際のお金の数倍~数十倍の金額を取引するからです。これは家を買う時に組む住宅ローンを想像してもらえるとわかりやすいです。

あなたが東京のとあるマンションを1戸買うとしましょう。値段は3000万円です。お金持ちの人だったら一気にポンッと出せるかもしれませんが、多くの人はそんな大金が出せないと思います。

そこで、長期間にわたって返済していくために住宅ローンを組みますが、ローンを組むときには「担保」が必要です。3000万円という高額なものを扱うため、きちんと責任を取りますよ、というものが担保になります。

では先物取引の場合はというと、詳しい金額の説明は後に行いますが、一番小さいもので大体2~300万円分の売買をすることになります。当然いきなりそれが借金となることは決してありません。ただこの大きな金額を扱うために、最初に預かるお金が「証拠金」となります。

つまり、担保となる証拠金を証券会社におさめることで初めて取引ができるようになるというわけです。

なお、はじめに証拠金が必要になるものは主にFXと先物であると言いましたが、株を取引する際には要りません。というのも、例えば100円の株を100株買うなら1万円をそのまま支払うこととなりますので、証拠金という概念はありません。

証拠金について理解はできましたでしょうか?それでは、実際に取引する際はいくら用意すればよいのか、そしてその金額がどのように動いていくのでしょうか?

100円の値動きで1万円の損益となる

今回の記事では日経先物取引で取引する例を挙げます。FXにおける証拠金についてはこちらの記事でまとめてありますので、ぜひご覧ください。

日経先物で一番気軽に始められるのが「日経225先物ミニ」となりますが、先物を取引する際の単位は「枚」となります。そして、最低単位である1枚取引するために必要な証拠金はおよそ4万円~7万円です。

しかし、この金額はあくまで相場の状況や取引する時期、取引する証券会社によって異なりますので、具体的な金額に関しましては各証券会社のページで確認してみてください。

ここでは証拠金が5万円だと仮定しましょう。この5万円で日経225先物ミニを19000円で1枚買うとすると、

19000円×100×1枚=190万円

となります。つまり、5万円で190万円分の取引をするということになります。

(ここでかけた「100」というのは乗数といい、簡単に言えば何倍の分を取引するかを表す数字になります。)

そして買った後に価格が19000円から19100円に値上がりしたとしましょう。このとき

(19100-19000)×100×1枚=+1万円

となり、あなたは1万円分の利益を得ることができました。一方で18900円に値下がりした場合を考えてみましょう。この場合は

(18900-19000)×100×1枚=-1万円

となり、この場合は1万円分の損失ということになります。

取引は余裕と細心の注意をもって行うべし

日経先物の場合は値動きが大きいので、必要な証拠金よりも少し多めの額が必要となります。そのため、始める際は10~15万円程度を備えておくと安心して始めることができると思います。

また、取引する際にはきちんと投資に回す額を定めておき、損失が広がったときに取引を一時的に中止するなど、自己管理を行うことが重要となります。

以上で先物取引の簡単な解説は終わりとなります。日経225を用いた先物取引は株式の取引と通じる点が多くありますので、興味がある方は株式投資の記事も併せてご覧ください。