今何かと耳にする機会が多い「ビットコイン」(Bitcoin)という言葉。
ネットでは儲かるという声を聞いたり、友人や親戚で買っているという人がいたりすることもあるでしょうが、そもそもビットコインとは何物なのでしょうか?
ネットや本を見ても、ブロックチェーンやフィンテック、マイニングといった難しい単語が並び、なかなかビットコインの本質を理解するのは難しいです。
今回は、日本人がなかなか理解しづらい「ビットコイン」について、日本で一番分かりやすく解説しました。
ビットコインは何に使えるの?
今買うべきなの?
こういった疑問にすべてお答えします。
目次
フィンテックとビットコインの関わりは?
良くビットコインと合わせて聞く言葉として「フィンテック」(fintech)があると思いますが、フィンテックとビットコインはどういう関係なのでしょうか?
どちらも見慣れないカタカナ言葉なので難しく感じると思いますが、例えるならば、フィンテックを「スポーツ」、ビットコインを「ピッチャー」とするとわかりやすくなると思います。
スポーツの中には野球やサッカー、水泳と言った様々な競技があります。
そして野球をするとなると、その中にも様々なポジションがありますが代表的なのが「ピッチャー」ですよね。
フィンテックとはITの進化によって生まれたお金に関するジャンルであり、フィンテックの中には「仮想通貨」や「クラウドファンディング」といった様々なサービスがあります。
そして、フィンテックの中で「仮想通貨」と呼ばれるものの一つが「ビットコイン」となるのです。
フィンテックとビットコインとは全くの別物であることがお分かりいただけると思います。
では次にビットコインや仮想通貨とは何かについて見ていきましょう。
仮想通貨を代表するビットコインとは何か?
あなたが「ビットコインを一言で説明してくれ」と頼まれたら、「ビットコインは通貨である」と答えるのが最も適切でしょう。
通貨というと、円(¥)やドル($)を想像すると思いますが、ビットコインはそういったものと並ぶ存在なのです。
しかし、円やドルといった既存の通貨と大きく違う点として「実物が存在するか」が挙げられます。
よくビットコインというと上のような画像がよく見られますが、これはイメージであって実際にこういった硬貨や紙幣が存在するわけではありません。
実際にモノとして存在はしない「仮想」の通貨なのでビットコインなどは「仮想通貨」と呼ばれているのです。
あなたがビットコインを持ったとしたら、それは電子データとしてインターネット上に存在することになります。
電子データで存在するという特徴から、仮想通貨は別名「暗号通貨」と呼ばれています。
ハワイに行くときはドルへ両替をして買い物するのと同様に、あなたが円をビットコインを両替したら、それで買い物したりすることができるのです。
電子マネーとは違うの?
「現金以外のお金というと『Suica』や『ICOCA』、『Edy』といったICカードなどとビットコインは何が違うのか?」と思われる人もいるでしょう。
一見すると似ている両者ですが、本質的には全く違うものとなります。
SuicaなどのICカードはあくまで日本の円を基準として、その上に成り立っているシステムです。
そのため1000円をチャージしたカードは、ずっと日本円で1000円分の価値を持つことになります。
一方でビットコインは「通貨」です。そのため、ビットコインを買うということは円とは全く別のお金に替えていることになります。
ビットコインは変動しますので、もしあなたが今日1000円分をビットコインに替えても、明日には値上がりして2000円になるかもしれませんし、逆に半分の500円になる可能性もあるのです。
ビットコインはSuicaやEdyといったICカードより、ドルやユーロの方が近しいものと言えます。
なぜビットコインが着目されているのか
それでは、なぜ今ビットコインがこれほどニュースなどで話題になっているのでしょうか?
ビットコインが注目されている理由として、「急激に値上がりしている」という投資的要素が大きいのです。これをわかりやすく説明していきましょう。
ビットコインの値段は、ビットコインの需要で決まっています。
つまり、「値上がりするだろうから、ビットコインを欲しい!」という人が増えれば値段が上がり、逆に「要らないからビットコインを売りたいなぁ」と多くの人が考えれば下落します。
現在テレビや雑誌、サイトなどでは、最近の価格の急上昇で「ビットコイン急上昇中!」「ビットコイン投資で億万長者に!」といったニュースや記事が増えています。
それらによって「ビットコインが欲しい!」と考える人が増え、さらにビットコインの需要が増えます。
その結果、またビットコインが上がるという下のような循環が起こっているのです。
つまり、最近のビットコインの上昇は「投資的要素」が大きく、実際にビットコインを使いたいから欲しいという「実需」の部分はほとんどないのが現状なのです。
ビットコイン=儲かるという発想は危険!
現在1ビットコイン=約80万円(2017年11月現在)ですが、1年前は7万円であったことを考えると、1年間で10倍以上になっています。
さらに言えば、5年前は1ビットコイン=1000円でしたので、例えば5年前にビットコインを100万円分買っていた人は、今その価値はなんと「8億円」になっているということになります。
こうしたビットコインで億万長者になった人の影響もあり、「ビットコインは儲かる!」という話が独り歩きし、ビットコイン投資を始める人が急増しています
しかし「ビットコイン=儲かる」という発想だけで投資することは大変危険であると言えます。
先ほども申しました通り、特にこの1年間の値上がりは、実需に基づかない値上がり、つまり「上がるから買われる」といった動きが主な要因です。
そして、儲かるから買われるという動きは「バブル」につながる可能性が高いです。
価格が上がるのにつられて、皆がどんどんビットコインを買っていきます。
すると、実際の価値以上に価格がどんどん上がっていき、泡のように実体のない値段がつきます。これがバブル状態です。
しかしある時、「ビットコインはすごく高いが、本当は今の値段に釣り合うほどの価値がないのでは?」と一部の人が気づきはじめると、ビットコインを手放します。
売られ始めたビットコインは値段が下がるため、焦った人たちが「手放さなくては!」どんどんビットコインを売ります。
これがバブル崩壊です。
これは30年ほど前の日本で発生した昭和のバブルと全く同じであり、ビットコインでも同様に起きる可能性があります。
このバブルともいえる価格の上昇に乗って投資をするかしないかは個人の判断です。
しかし重要なことは「そもそもビットコインはなぜ生まれたのか」「ビットコインは何が出来るのか」といった本質の部分を理解しておくことだと思われます。
次にビットコインのミソをわかりやすく説明していきたいと思います。
ビットコインの本来の目的は?
円やドルといったそれぞれの国のお金がある現状で十分なのに、何故ビットコインは生まれたのでしょうか?
それを知るためには昔からある通貨の弱点を知る必要があります。
今までのお金は、円は日本政府、ドルはアメリカ政府というように、お金を発行し管理している国や中央銀行などの主体がありました
そしてお金が動くときは、中央銀行を中心に一般の銀行を通して行われていました。
このシステムの難点として、管理するための費用として、お金を動かす時に手数料が多くかかってしまうことがあります。
しかしインターネットの進化によって、利用する人たち自身がルールに従ってお金を作り、取引を管理するネットワークを作れるようになりました。
これによって、「ビットコインを便利にしよう!使っていこう!」と参加する人たちで協力して管理するため、使うためのコストがほとんどかからずに済むのです。
つまり政府や銀行といった具体的な組織に頼らない、新しいお金の在り方として生まれたのがビットコインと言えるのです。
ビットコインの強みとは?
皆で管理するしくみのビットコインだからこそ、普通のお金より優れている点があります。
1.時間に縛られない送金や振り込み
金曜日の仕事終わりに、毎月の家賃を振り込む例を考えてみましょう。
あなたが振り込んだお金が大家さんの口座に届けられるのは、きっと週明けの月曜日の朝です。
これはお金の動きが「銀行」を通して行われるからであり、その結果銀行が営業していない夜間や土日はお金を動かすことができません。
しかしビットコインの場合、個人から個人への直接的なお金の動きとなり、どこも経由することはありません。
その結果、あなたが大家さんへビットコインで振り込みを行った場合、数分から1時間程度でビットコインを送ることができます。
このように時間的制約を受けないことがビットコインの強みの1つです。
2.手数料がとても低い
先ほどの家賃の振り込みの例を続けて考えてみましょう。
大家さんが指定する銀行に、あなたが口座を開設していない場合、1回の振り込みで500円近い振込手数料がかかります。
ちなみにあまり馴染みがないかもしれませんが、日本の銀行から海外に送金すると1回あたり5000円以上かかるケースもあるそうです。
これらは全て、銀行という中継地点を間に挟むことによって発生します。
しかしビットコインの場合、取引所が送金手数料を負担してくれるところも存在し、非常に安価な手数料で送金することが出来ます。
早いだけでなく、コストが低く済むということが2つ目のメリットです。
3.スマホ1台で完結する
遠くの人とのお金のやり取り以外にも、身近な買い物などにもビットコインは活躍すると考えられています。
それは、ビットコインのやり取りには高度な機材を必要とせず、スマートフォンさえあれば可能である性質によるものです。
従来までの支払いの場合、現金であればレジが、クレジットカードでは専用の決済機が、またICカードであれば読み取り機がそれぞれ必要となります。
これらを準備することは、オープンしたてのお店や小規模な屋台などではコストの面から難しかったでしょう。
しかしビットコインの支払いならば、支払いする人のスマートフォンで相手のQRを読み取るだけとなります。
つまりお店側もスマホかPCを用意しておけば良いことになり、ハードルがぐっと下がります。
お金を扱うことそのもののコストも下げるという効果がビットコインにはあるのです。
ビットコインが普及する問題点
ビットコインには従来の通貨より優れた点が多くあると言っても、日本でビットコインが一般的になるのはまだまだ先と考えられています。
次に日本で普及する際に立ちはだかる、現状での問題点を考えてみましょう。
1.価格の変動が大きすぎて実生活に使えない
あなたが洋服を買おうと思ってビットコインを1万円分持っていたとしましょう。
しかし今の相場だと、今日買うか迷っていたら翌日には価格が下がり、持っているビットコインの価値が5千円になっていた!という現象が起こりうるのです。
もちろん同様の現象はドルやユーロなどの通貨でも起こっていますが、ビットコインの場合は短時間での変動が大きすぎるのです。
これだけの大きな変動は、ビットコインを投資の対象として取引している人が多いことが原因となっています。
これらの流れが落ち着き、価格変化がもう少し落ち着く状況にならないと日常生活には浸透しないでしょう。
2.日本国内では使える店舗が少ない
せっかくビットコインを所有しても、使うことができなければ意味がありません。
2017年11月現在、ビットコインを使える日本国内のお店として「ビックカメラ」や「メガネスーパー」、「H.I.S.」などのチェーン店や一部の個人店舗が対応しています。
それでも、どのお店でもビットコインが支払いできるという状況になるのは、まだまだ遠いという現状があり、使える場面を広げることが利用者の増加には必須でしょう。
3.振り込みする相手もビットコインの口座が必要
振り込みなどの送金の際に、ビットコインを使う強みとして「送金が素早く、安い手数料でできる」ことがあります。
しかし送るときの問題点として、相手もビットコインのウォレット(ビットコインの財布)を持っていないといけないという課題があります。
この状況はメールとLINEの関係に似ています。
今でこそ日本にはだいぶLINEが普及していますが、サービスをスタートして間もない頃はLINEはやっている人とやっていない人がいました。
その当時は、LINEをやっている人にはLINEで送れるが、やっていない人にはメールを送信しなければいけない状況がありました。
つまり、「LINEをみんながやる」という環境で初めて便利にやりとりできるのと同様に、「ビットコインをみんながやっている」状況で初めて個人間のお金のやりとりの利便性が上がると言えるのです。
4.セキュリティの課題
現金を持っている今であれば、お金を盗まれないように財布は必ず身につけるなど、気を付けていると思います。
ビットコインは実物がないお金ですが、同様に盗まれるリスクというのがあります。それがハッキングです。
ビットコインの財布を「ウォレット」と言いますが、ウォレットはインターネット上にあるため、ハッキングなどによってパスワードなどが盗まれ、勝手に送金される可能性があるのです。
また、現金で持っていると怖いからと銀行に預ける場合、銀行が倒産したら返ってこない可能性があります。
ビットコインでも同様に、ウォレットを管理している会社が倒産したり、あなたのビットコインを持ち逃げしたりすると、あなたのビットコインが返ってこない可能性があります。
ビットコインに関する法整備が少しずつ進んでいますが、まだまだ発展途上の分野でありますので、こういった危険性は残っているといえるでしょう。
ビットコインを買うべき?やめるべき?
ここまでビットコインのことを一通り説明してきました。
最後に結局ビットコインを買うべきなのか、そうではないのか?ということについてお話ししたいと思います。
1.使うためのビットコインは買い?
まず「日常生活で使うためにビットコインを保有したい」と考えているのであれば、まだ少しだけ時期が早すぎると言えるでしょう。
普及への問題点でお話しした通り、私たちの生活でビットコインが使えるようになるためにはまだまだいくつも課題が残っております。
現在は相場やセキュリティなど不安定な状況が進んでいますので、きちんとシステムとして整ってから、ビットコインを買っても遅くはないと思われます。
2.値上がり目的のビットコインは買い?
過去の急上昇を見たら、「ビットコインが欲しい!」という気持ちは大変わかります。
しかし、上昇してきた分だけ下落するリスクもあるということを忘れてはいけません。
ビットコインを購入する際は完全に自分の責任となります。
友人に勧められた、ネットで儲かるという記事を見たなど、理由は様々あると思いますが、きちんと本質を理解した上で、余裕資金で購入するべきでしょう。
まだまだ今後の発展が注目される「ビットコイン」
ただ、「仮想通貨」や「ブロックチェーン」というしくみ自体は、今後伸びていく分野ではあると思います。
なぜなら、今までのお金が持つ問題を解決していく力をこれらの新しい技術は持っていると考えられているためです。
せっかく仮想通貨というものが成長している時代に生きているからこそ、もっと仮想通貨に慣れ親しむためにビットコインを少し買ってみるのはアリかもしれません。
ビットコインのまとめ
長くなりましたので、ここで今回の記事の内容を簡単にまとめたいと思います。
・価格が急上昇している主な要因は、儲けを狙う投機的な動き
・急上昇はビットコインバブルを引き起こす可能性がある
・ビットコインは従来からあるお金と異なり、みんなで管理するしくみ
・日常生活で使えるようになるためにはまだまだ課題が残されている
・ビットコインを買う際は、目的を定めて慎重に行うべき
近い将来世の中に広まっていくであろうフィンテックの知識を今身につけておきましょう。