最近テレビなどでビットコインの知名度が上がったことで、「フィンテック」にも関心が集まるようになってきました。
フィンテックによって私たちの生活は今までと全く違ったものになると言われていますが、一番大きく変わっていくとされるのが「銀行」であることをご存知ですか?
今フィンテックの登場によって銀行が潰れようとしているのです。
今回はフィンテックに関する簡単な説明を行い、銀行が今後どうなってしまうのか、そして私たちが取るべき行動について考えてみましょう。
目次
フィンテック=お金の革命
インターネットが発達してきたことで、私たちの生活は大きく変わりました。
昔は画像付きのサイトを見るだけで何分とかかっていたものが、今ではスマホで動画を外出先でも見ることができます。
こうしたITの進化を、今度は「お金」という分野にも活用して、私たちの生活をさらに便利にしようとするサービス、その総称がフィンテックです。
フィンテックではどのようなサービスがあるのか、詳しく知りたい場合は
をご覧ください。
さて、今まで私たちのお金周りに関するサービスを提供していたところと言えば、「銀行」があります。
今までお金に関して絶対的な立ち位置にいた銀行は、こういったフィンテックの登場で立場をおびやかされているのです。
銀行のサービスを整理すれば3つに分かれる
世界で一番最初の銀行は今から300年以上前に生まれ、それ以降私たちの生活に銀行は切っても切り離せないものとして存在しました。
フィンテックと銀行の関わりの前に、今の銀行がどのようにビジネスを続けているのかを整理してみましょう。
銀行が行っている業務は、簡単に言えば3つとなります。
1.お金を預かる
あなたもきっと、財布に入っている以外のお金のほとんどは銀行に預金しているものと思います。
働いてもらう給料を銀行振り込みにして、使う分だけを引き出すという人も多いと思います。
このように銀行はまず活動資金として「私たちのお金を預かる」という仕事があり、これがサービスの1つ目です。
2.お金を貸し出す
あなたが家を買う時、現金で一気に払うということはせず、きっとローンを活用するでしょう。
また会社が活動するには最初にお金が必要であり、そのためには誰かから借りないといけません。
こうしたお金が必要な時に、「お金を貸し出す」というのが銀行の2つ目のサービスです。
そして、銀行は預ける時よりも貸す時に高い金利にすることで、その差額を利益として得ているのです。
3.お金の動きを管理して商品を売る
あなたの毎月もらっているお給料やボーナスの額、毎月の生活費などを銀行がほとんど知っていることをご存知ですか?
銀行は客の口座を見放題なことを忘れてはいけません。
「毎月給料として20万円入っているな」「振り込みで家賃は8万円の家に住んでいるのか」「この月には頭金として車を買ったのだな」
こうしたデータは口座を見れば一発でわかってしまいます。
つまり、銀行をあなたが使い続けている以上、あなたのお金の動きは全て銀行には丸見えなのです。
銀行はそのデータを利用して、様々な商品を販売していきます。
例えば、家庭を持った人に保険の加入を勧め、退職した人には老後資金の運用などで投資信託を紹介するのです。
そうして銀行は自社の金融商品を売って、高い手数料を儲けとしているのです。
つまり、銀行の3つ目の仕事は「顧客のお金のデータを管理する」ということにあります。
まとめると、銀行は私たちがお金を預けたり使ったりすることによって利益を上げていることになります。
それではもし私たちが銀行を使わずに生活できたらどうなるでしょうか?
フィンテックのサービスで実現するのは、銀行などの金融機関を使わずとも、もっと便利に、スピーディーに、お得に生活できる世の中なのです。
銀行を潰すフィンテックのサービスは?
誰も銀行からお金を借りない、預けないという状況になると、メガバンクと言えど潰れてしまうでしょう。
銀行を通さないお金の動きというのが、フィンテックで可能になろうとしています。
今の銀行の仕事にとって代わるサービスとしてどのようなものがあるのでしょうか?
ここではフィンテックでこれから実現されるかもしれないサービスを見ていきましょう。
1.銀行を通さないお金が動く(決済の変化)
まずは「決済」、つまり支払いに関するサービスです。
あなたは直接買い物で現金で支払う時以外は、全て銀行を通して支払っていたはずです。
家賃は銀行振り込み、クレジットカードやローン、毎月の保険料も銀行引き落としとなっているはずです。
これは従来まで対面以外でお金を支払う方法が、銀行のネットワークを利用することしかできなかったからです。
では、それをインターネットを活用し、メール感覚でお金を送れたらどうでしょうか?
実際にビットコインなどの仮想通貨は全てインターネット上でお金を送ることが可能になっています。
銀行ですと高い手数料や営業時間などの制約がありますが、インターネットならそれもありません。
これによって、銀行を介さないお金の動きというのが生まれる、これがフィンテックによる変化の1つ目です。
こうすると、今までお客のお金の動きや資産といったデータを見てビジネスを行っていた銀行は、保険などの商品を売りづらく、稼ぐことが難しくなっていくのです。
今までは給料を銀行に振り込み、引き出したり買い物したりすれば口座から引き落とされていたため、銀行は私たちのお金事情のほとんどを把握できていました。
銀行にお金事情がつつぬけになっていたため、退職金が出た人に資産運用や、家を買う人にローンを貸し出すことができたのです。
しかしスマホで決済や資金を受け取るしくみができれば、銀行にお金を預ける理由もなくなるでしょう。
銀行はお金を預けてもらえなければ、私たちの資産や収入の状況が分からなくなり、保険を売り込むこともできず稼ぎ頭を失います。
実は既に高い手数料を必要とする銀行を通さずに、気軽にお金を友達に送ることができるサービスは存在します。
今後さらに普及すれば銀行に代わる送金サービスになり得るかもしれません。
2.預けるだけから、簡単に資産運用へ(ロボアドバイザー)
これまでは「投資」や「資産運用」というと、難しい専門知識やスキルを必要とするものと考えられ、敷居が高いと思われていました。
では、もし今話題の人工知能に全てお任せして、あなたは何もする必要がなかったら気軽に資産運用できると思いませんか?
これを実現しようとしているのが「ロボアドバイザー」です。
ロボアドバイザーはあなたの代わりに、人工知能(AI)が最適なバランスで資産の振り分け、実際に運用を行ってくれるサービスです。
今までは「資産運用=富裕層がすること」とのイメージもありましたが、AIを使うことで手数料を下げられ、今では1万円から始められるところもあるそうです。
このロボアドバイザーで資産運用が一般的になれば、銀行に預金を預けっぱなしになる人は減るため、銀行が貸し出すための元本も減ってしまいます。
預金から資産運用へ、この流れを加速させているのもフィンテックのサービスなのです。
少額でできる資産運用術「ロボアドバイザー」
3.銀行以外から借りる選択(ソーシャルレンディング)
では銀行の重要な仕事である、「お金を貸し出す」という点はどうなるのでしょうか?
実はお金を借りるサービスも、フィンテックの登場によって全く変わると考えられています。
車や家を買ったり、会社が事業を行ったりするときには、銀行にお金を貸りるのが一般的でした。
しかし、お金を持っている人からすれば、銀行を通さないで必要としている人に直接貸した方が得られる利益は大きいはずです。
その考えがフィンテックのサービスでは実現され、個人が別の個人や会社に簡単に貸し出すしくみが発案されました。
日本では法律で制限の点からまだ実現はされていませんが、海外では実際に行われている事例もあります。
お金を貸し出す時に問題となるのが返済能力があるかどうか、という点ですが、これもフィンテックの技術は解決しました。
今まではお金の動きを見れた銀行しか知ることが出来なかった返済能力を、今は人工知能を使って返済能力を計ることができるのです。
借りる側も、高い手数料や金利がかかる銀行よりもお得に借りれるのであれば、そういったサービスが普及するのも時間の問題でしょう。
つまり、フィンテックで実現する3つ目のサービスは「銀行以外から借りる選択肢を生み出す」ということになるのです。
フィンテックが浸透したあとの銀行は?
では将来フィンテックのサービスがさらに一般的になった場合、銀行は本当に潰れてしまうのでしょうか?
銀行の将来の姿はどうなるのか、今から起こりうる可能性について考えてみましょう。
銀行はATMという「便利な金庫」を持つだけの存在?
あなたは普段買い物をするときに現金とそれ以外、どちらでの支払いが多いですか?
クレジットカードやICカードを使える場面は増えてきましたが、まだまだ現金での支払いが多いのではないでしょうか?
日本では海外よりも治安が良いという理由もあり、現金を持って日々の支払いに好んで使われています。
すると、この風潮がカードや仮想通貨といった電子媒体に一気に変わることはないと思われます。
こうなると銀行のサービスは、普段使うであろうお金を少し預けておいて、必要な時だけATMで引き出すだけという「便利な金庫屋さん」としての役割が強くなるのではないでしょうか?
すると将来の銀行は無人のATMだけになり、日本全国にある大きな店舗を構えた銀行は一気に閉店ということもあり得るでしょう。
今ある「貸出の業務」や「金融商品の販売」という稼ぎ頭を失った場合、メガバンクでも今のまま残ることは難しいでしょう。
平成の初めに銀行が一気に合併したときがあったように、銀行の業界もさらなる吸収・合併が進むかもしれません。
銀行がフィンテックを活用しようとするも…
もちろん銀行も自らの危機を感じており、三菱UFJ銀行やみずほ銀行などはオリジナルの仮想通貨を開発するなど、生き残りの道を模索しています。
しかし、銀行自らがフィンテックに対応する改革を一気に進めていくことは難しいと考えられています。
その理由の1つとして、大手の金融機関であるがために、1つのシステムを変えるのには多大なコストがかかるということがあります。
また、銀行という業界が年功序列が重んじられるため、組織の上の人間が今までのビジネスモデルに執着しているという理由もあるでしょう。
一方で新しく金融の世界に入ってきた新興企業は、資金こそないかもしれませんがフィンテックをどんどん活用し、お客さんが欲しがるサービスをスピーディーに提供できます。
現段階で銀行は規模の力で有利かもしれませんが、将来的なサービスの満足度で考えたときに銀行が苦戦する可能性は十分にあり得ます。
フィンテック世代のあなたに必要なこと
フィンテックのサービスがどんどん充実していき、銀行にとって厳しい時代が来ることはほぼ間違いないでしょう。
さて、この時代の変化であなたがすべきことは何でしょうか?
今後フィンテックの台頭により、経営が厳しくなることで衰退していく可能性がある銀行に、あなたの大切なお金を預金として丸投げしておいて良いのでしょうか?
フィンテックのサービスには今までなかった画期的なものもいくつもあり、さらには金融に関する分野となると難しいと感じることも多いでしょう。
しかし、「難しいから考えなくてもいい」と避けるのではなく、少しずつでもフィンテックに関する知識を持ち、時代に取り残されないようにしないといけません。
そのために、まずは生活に身近で便利なフィンテックのサービスはどのような物があるのか知り、活用し、自分の資産は自分で守る。ことから始めてみてはいかがでしょうか?
これからも「GOA Online」では次の時代で必要とされるフィンテックに関する知識をわかりやすく説明していきます。