【前回の記事】では、「ナンピン買い」について解説し、それによる思わぬ落とし穴についてお話ししました。そして、損失を広げないために「損切り」がとても重要であるということを軽くお話ししました。
なぜ、プロのトレーダーは長期的に収益をあげられるのでしょうか。そしてなぜ初心者はすぐに資金を0にして相場から退場させられてしまうのでしょうか。それは「損切り」に対する考え方が全く異なっているからなのです。
投資に対して全く知識がない方でもわかりやすく書いておりますので、投資を少しでも始めてみたい、と考えた方の心に刻んでいただきたいと思います。
「損」が出ているものを「切る」
「損切り」というのは文字通り「損を切る」ことであり、含み損を抱えているポジションを決済することになります。考えやすくするために、前回と同じ例で考えてみましょう。
現在GOA社の株は1株100円で、あなたはこの株が上がるだろうと読みました。なので、100株を購入しました。しかし、あなたの予想に反して90円に下がってしまいました。そこで、これ以上の損失の拡大を防ぐために、1株90円で100株で決済すること、これが損切りです。
前回の記事では、簡単に「塩漬け」についてお話ししましたが、塩漬けは損切りができないことによって引き起こされる現象です。
「これから上がるはずだから、今損失を決めてしまうのはもったいない」と考えて含み損が広がっている株を自分で決済できない。これが新たな塩漬け株を作り出すのです。
まだ投資をやったことない方は、この話を聞くと「自分はちゃんと分別をつけられるから大丈夫」と思う方もいるかもしれません。しかし、実際に投資にチャレンジしてみると、心理的な要因が働いて損切りできない、ということになる方が大半です。
ではなぜ初心者トレーダーは損切りができなくなってしまうのでしょうか?
あなたはどちらを選びますか?
このテーマを考えるために、まずは簡単な質問に答えてみてください。もしAとBの状況があったら、あなたはどちらを選択しますか?下の答えを見る前に考えてみてください。
A.何もせず、1000円もらえる
B.じゃんけんで勝ったら2000円もらえる、負けたら何ももらえない
いかがでしょうか?AとBどちらを選びましたか?ちなみにこの質問を行うと、大半のひとがAを選択すると言われております。つまり、利益がある状態ではリスクを取らない人が多いと言うことになります。
それでは、次の質問の場合はいかがでしょうか?
A.何もせず、1000円支払う
B.じゃんけんで勝ったら支払わなくていいが、負けたら2000円支払わなくてはならない
今度はいかがでしょうか?支払いたくない、と言わずにどちらか考えてみてください。
統計に基づくと、今度の質問の場合では多くの人がBを選ぶと言われております。
ここで違和感を感じませんか?2つの質問は、どちらの回答を選んでも期待値、つまり損や得をする可能性は同じです。そして、1つ目の質問と2つ目の質問、内容的にはほとんど同じであるにもかかわらず、利益がある状態と損失がある状態では違う回答をしてしまうのです。
つまり人間は「有利な状況ではリスクを避ける。不利な状況ではリスクを好む」ということができます。そして、この性質こそが「損切り」が出来ない最大の要因と言われています。
株取引でも間違ったリスクを取ってしまう初心者
ではこれを株取引に置き換えてみると、簡単に理解できます。あなたが1株100円で100株買ったが、90円に株価が下がってしまっている状況として、さっきと同様の質問を行うとこうなります。
A.今この場で1株90円で決済して、1000円の損失を確定する。
B.10円値上がりしたら損失は0円になるが、更に10円値下がりしたら2000円の損失に広がる
株価が上げ下げする確率をじゃんけんと同じように50%ということはできないかもしれませんが、将来どうなるかわからない状況は同じです。
そして、じゃんけんの質問の場合はBを選んだ人が多かったように、投資の初心者というのは損失を確定する、つまり「損切り」というAの選択を取れないのです。
では、投資で収益を上げ続けているプロのトレーダーはどのように取引しているのでしょうか?そこには、「感情」というものに対する決定的な捉え方の違いがあるためです。
株で無駄な損失を出したくない、と思ってる方は【こちら】から続きをお読みください。(株の基礎⑧へ続く)