皆さんが何気なく日常で使っている「お金」、使わない日は1日たりともないと思います。外に出れば買い物をし、1日中家にいても気づいたら電気代などが支払っていることでしょう。
しかし、よく考えてみるとお金の存在って不思議だと思いませんか?例えば1万円札、財布にあったら安心した気持ちを持ちますが、1万円札自体はただの紙です。
ちなみに、1万円札を1枚製造するコストは約20円と言われており、月収20万円をもらっている人でも実際の価値は400円分しかもらっていないことになります。つまり、コーヒー1杯分しか飲めないわけです。
金やダイヤモンドと違って、お金の硬貨や紙幣そのものには価値がないのにも関わらず、私たちは何の意味もない紙や金属を支払いに使い、頑張って貯めようとしています。
そこで、今回は実はみんな知らない、ちょっと面白いお金の歴史について軽くまとめてみました。明日から使える豆知識としてふらっと読んでみませんか?
最初はモノとモノ
そもそも、人類が地球に出現した当初は当然お金というものは存在しませんでした。お金の誕生について考えるためには、お金がなぜ必要か、ということについて考える必要があります。
太古の昔に人類は農業や漁業を営んでいました。しかし、自分が生み出すことができないものというのは、違う手段で手に入れないといけないのです。
例えば、あなたがコメを作っていたのであれば、コメ以外の食べ物は誰かからもらわないといけません。一方でAさんは魚を捕ることで生活しているとしたら、Aさんはコメが欲しいわけです。
そこで、魚とコメを交換するということになります。これが「物々交換」です。しかし、現代では物々交換で生活している人はいないように、色々不便な点があったのです。
新幹線の運賃はコメ20kg、本マグロの切り身1kg
不便である一つ目の点はモノであると実用性に欠けるということです。すべてをコメで支払うとすれば、地下鉄で3駅移動するのに運賃でコメ300g、東京から新大阪までの新幹線がコメ20kgということですので、東京から大阪旅行をするためには、宿泊代も含めて100㎏以上のコメを持っていくことになります。
二つ目の問題は、保存に適さない点です。例えば魚は捕れてしばらくすると腐ってしまい、売れないからといって家で保管しておくことができません。大阪旅行の行きの切符代はマグロの中トロの切り身で支払えるけど、帰る頃には腐って価値がなく支払えなくなってしまいます。
このような不便さを昔の人も感じたのでしょう。そこで人と人の間で取引する際の基準となるものを決めよう、と誰かが考えだしました。それが「貨幣」です。
最初の貨幣はある共通した「モノ」
「貨幣」は物々交換の代わりになる必要があるため、誰もが値打ちを認めて、かつ持ち運びや保存ができるものである必要があります。
その条件を満たすため、多くの地域で「貝」が用いられていました。そのため、現在にも「貯」や「貨」といったお金にまつわる字には「貝」が入っているのが名残で残っています。
それ以外にも地域によっては毛皮や羽毛が使われており、こうした「物品貨幣」と呼んだそうです。
「物品貨幣」の限界
そうして始まった原始的なお金ですが、いくつかの問題が発生しました。ここでは貝殻を例に考えてみましょう。
まず一つ目に、使っているうちに摩耗し、品質が安定しないという問題です。人から人にわたっていくうちに、どんどん擦り切れ、そのうち割れてしまうでしょう。また大きさや形も一定ではありません。すると、持っていてもお金として認められないという状況が発生してしまいます。
二つ目に偏りが存在するという問題もありました。貝殻であれば、海に行って拾ってくることができます。つまり、持っている人が持って、持っていない人はどこからか工面する必要が生まれるわけです。
そして、最大の問題は「流通しなくなってくる」ということです。貨幣は保存できる性質を持っているため、人々がみな貯金をし始めると、無数にあるわけではない貝殻は市場になかなか出回らなくなってしまうのです。
このように様々な問題が発生した原始的なお金ですが、このお金の登場は人類の発展に大きな影響をもたらしたのです。
貨幣が生まれた意味
まず、お金は人間の生活に「余力」を生み出しました。ただモノを生産していた時代は保存することができないので、日々の食糧や生活に精いっぱいでした。しかし、使いたいときに使えるお金の概念が登場したため、生活にゆとりが生まれ、その結果として文化の発展につながったのです。
また、お金はゆとりと同時に「信頼」を生み出します。いきなり出会って間もない見知らぬ人に「あなたの持ってるマンガと私のゲームソフトを交換しませんか?」と言われても、不安でしかないと思います。
しかし、その2人の間に「お金」という存在があることでやり取りは一気にスムーズになり、フリーマーケットでは当たり前の光景となっています。
こうして、現代のように見知らぬ人でも信頼し、コミュニケーションが取れる社会がお金によって生まれたのです。つまり、「お金」の登場によって人と人との交流が劇的に広がったと言えるのです。
そしてお金は次のステージに
物品貨幣に限界を感じた人は、品質が安定して新たに作ることのできるものを貨幣にしようと考えました。そこで今の私たちがおなじみの銀や銅でできたコインが登場し始めます。このことについて、【次の記事】で説明していきます。