【第1回目の記事】から、AIが私たちの社会、そして個人にもたらす影響を考えてきました。大半の人間が無理して働かなくても生きていける世の中はほぼ確実にやってくると言えるでしょう。
しかしAIに任せて働かずに生きていく人と、AIを活用して仕事をして生きていく人が同じく扱われることは考えにくく、当然後者の方が収入面でも保証されているはずです。
今回の記事では、20年後、30年後のAI社会でもあなたがビジネスの第一線として戦うために必要なものを考えていきたいと思います。
AI社会でも活躍できる人の2つのタイプ
自分が思い描く理想の生活をしていくためには、AI時代でも働くということが必要であるといえます。
しかし問題解決能力において、人間はAIに全く太刀打ちできなくなるほどの技術発展はすぐそこまで迫っています。
そこで、AI時代において「働ける人材」になるためには、次に挙げる2つのどちらかのタイプの人間である必要があると考えられます。
シリーズの最後にまとめとして、AI時代でも「働いて生きていく」ために必要なことを考えていきましょう。
1.社会にある課題を見つけられるタイプ
1つ目は「課題を見つけられる人」です。前回の記事でもお話ししましたが、AIは問題を解決することが出来ても、人間の生活をよりよくするためにはどうしたらよいか、という問題そのものを見つけることができません。
つまり多くの人が抱えているであろう課題を見つけ、それをAIに解決してもらうというのが1つの働く形になると言えます。
では課題を見つけられる人材になるためにはどうすれば良いか?それはある分野のプロフェッショナルとなっていることです。
本当に自分が好きである、得意である分野を見つけ、その分野を究めている存在になっていることで、「これは多くの人が必要としていることなのではないか?」と気づくことができ、これがAIを活用したビジネスにつながっていくのです。
2.金銭的、時間的リスクを背負えるタイプ
そして2つ目は「お金や時間のリスクを背負える人」です。
これは今の社会構造でも同じですが、AIの開発には多くの費用が必要とされます。そこで1つ目に述べた「問題を見つける人」と同様に「問題を解決するための費用を出す人」がAI社会での人材として必要なのです。
インターネットのさらなる発展により、仕事を外注することはもっと簡単になるでしょう。そうなるとAIに関する知識が全くないとしても、資本さえあればAIを開発することは可能なのです。
すると自らの時間やお金というリスクを背負ってでも「問題を解決しよう」という人がAIを利用することでビジネスを成功することができるのです。
多くの国民がAIに任せて働かない世の中では、AIは現在で言うところの電気やガスと同じインフラとなってくることが予想されます。
例えば現在の電力会社などの状況を見ると明白ですが、そのものがないと人間が生活できない、といったインフラを供給している業界には多くのお金が入ってきます。
つまり将来インフラとなりうるAIを開発する側の人間は、AIの便利さをただ享受するだけの人間とは一線を画した存在となると考えられるのです。
AIは人間が使ってこそ価値のあるもの
このシリーズの一番最初にご紹介した世界最強の囲碁AIであるAlphaGoを開発したDeepMindの代表であるデミス・ハサビス氏は、AIと世界一の棋士である柯潔の対戦の前に以下のコメントをしました。
柯潔が勝とうとAlphaGoが勝とうと、それは人間の勝利である
人間とAIは対立するものと考えられがちですが、AIはあくまで「人間が使う便利な道具」の1つでしかないことを気づかせてくれるのではないでしょうか?
ある分野においては人間よりも優れた人工知能はもう既に存在しています。それをうまく活用し、賢く生きていける人が次の世代で生き残ることができる人材だと言えるのです。