新入社員の部下や他の仕事仲間に任せた仕事がうまく進んでいるか気になることはありませんか?
仕事が順調か、経過の説明や報告を聞いてみると「問題ないですよ、順調です」と返ってきた、これで安心していませんか?
そして気が付いた時には何か問題が発生している、何故もっと早く報告してこないんだ。こんな状況は避けたいと思います。
あらかじめ問題を回避するコツ、それはあなたの「質問の仕方」を変えることにあったのです。今回は簡単な実験の紹介を通じて、「問題を聞き出す力」について考えてみたいと思います。
製品を買う時の質問を変えてみると?
まずはある家電量販店で行われた実験を見てみましょう。この実験では量販店のスタッフがどのような回答を返すか、ということに着目しました。
実験の仕掛け人が人気の家電を買うという設定ですが、実はこの製品にはある問題点が存在します。そしてこの製品を売るスタッフはもちろん問題点を知っています。
そこで買う立場である実験の仕掛け人が問題点を聞き出すために、製品についての質問を「3通り」のやり方で行いました。
パターン1:「この製品について説明してもらえますか?」
パターン2:「この製品には何も問題はありませんよね?」
パターン3:「この製品の問題点はなんですか?」
それぞれの質問はランダムに別々のスタッフへしています。3パターンの質問の仕方で量販店のスタッフの何%が「この製品の持つ問題点」を明かすかをまとめたのです。
3つの質問はほとんど同じように思われますが、全く違う結果が生まれたのです。
普通に聞いても問題点は出てこない
パターン1の「製品の説明を求めた」場合では、スタッフの8%しか問題点を自ら明かしませんでした。
しかしパターン2の「問題があるかどうか」聞いた場合では、聞かれたスタッフの61%が問題点を説明し始めたそうです。
さらにパターン3の「問題は何か?」と聞いたケースに至っては、スタッフの89%が問題点を話したという結果になったのです。
つまりこの実験より、「問題が存在する前提」で質問した方が問題点を知ることが出来るということがわかりました。
正しい相手への質問の仕方とは?
ここで冒頭の仕事の説明を求める話に戻ってみましょう。
報告を聞きたい場合に「頼んだ仕事はどう?」という質問をしていると、先ほどの実験のパターン1のケースになっています。
このような質問をしても、「うまくいってますよ」という形で相手は自分から問題を話してくれる可能性は低く、あなたは問題点を知ることをできません。
ではパターン2のように「頼んだ仕事、問題はない?」と聞いてはどうでしょうか?
この場合は先ほどよりは改善されていますが、人によって何を「問題やデメリット」と感じるかは異なるため、人に伝えない可能性もあります。
すると「この問題は気になるけど、大したことじゃない」と考えてしまうと、あなたへは「問題?(多分)ありませんよ」という回答しかもらえず、この質問の仕方でも十分ではないと言えます。
つまり一番いい聞き方は実験の3つ目のパターンのように「頼んだ仕事、起きている問題は何だ?」となります。
この質問を受けた相手は自分の中で問題をリスト化し始めます。すると相手が課題と感じている点を漏らさずあなたは聞くことが出来るのです。
初めに問題を聞けば相手も話しやすい
出来ることなら何の問題もないまま仕事をこなしたいものですが、現実はそううまく行きません。だからこそ「問題」を避けるのではなく、事実として捉えることでうまく対処する必要があるのです。
またこのテクニックは仕事だけでなく、あなたが買い物する場面、プライベートで親交を深めたい場面でも使えるものです。
是非気になることを質問したいときは、真っ先に問題や不具合から聞く習慣をつけることをおススメします。
(参考文献)池田貴将『図解 モチベーション大百科』