年商ウン億円に騙されるな!会社の本当の力を表す4つの数字

よくテレビのお金持ち特集で、「実はこの人、年商○○億の会社の社長さんなんです!」という紹介を受けているのを見たことあるのではないでしょうか?

大体の場合、スポーツカーが数台も置かれているガレージから紹介が始まることが多い気がします。

しかしこの「年商」という言葉には注意が必要です。企業会計のどこを見ればその会社を評価できるかを知らないと、簡単に「年商○○億円」という安易な言葉に騙されてしまいます。

今回の記事では【前回の記事】でご紹介した「比較」と並んで使えるもう一つのツールである「割合」について着目したいと思います。

(損益計算書についての最初の記事は【こちら】になります)

なぜ社会人は企業の会計を知っておくべきなのか、「ビジネスに使える企業会計」の初回の記事は【こちら】になります。まだお読みでない方はこちらからお読みください。
これだけ知ろう!企業会計の基礎⑥
損益計算書~その3~

年商○○億は何も意味しない

それではまず具体的な話に入る前に、冒頭のところでご紹介した「年商」についてのお話をします。年商100億円の会社と年商1億円の会社、あなたはどちらがより利益が出ている会社だと思いますか?

実は「年商」というのは【4回目の記事】でお話しした「売上高」と同じものになります。「年商ってなんとなく利益のことかな」と勘違いしている方が多かったのではないでしょうか?

「売上高」というのは、お客さんに売った商品の合計額のことでした。しかし商品を売るためには「原価」や「販管費」といったものがかかるため、それらを差し引いた「営業利益」や「当期純利益」に着目しないと利益が出ているかはわからない、という内容でした。

(忘れてしまった方は【損失計算書で見るべきは4つの利益】について復習しましょう)

すると、年商を大きくするだけなら誰でもできることがおわかりでしょうか?例えば、1万円のものを1万個売れば、1億円の売上なので「年商1億円の会社」となるわけです。

例えば銀行から5億円借りてきて、元々5万円で売られている腕時計を1万個仕入れたしましょう。それが1個1万円だったら、破格なのでみんな買います。

これで1万個売っても「年商1億円」なのです。ただ原価より売っている値段が低いので当然大赤字です。

すると、最初にした質問の正解は「年商だけではどちらがより利益出ているかはわからない」ということになります。

もしかしたら、年商100億円でも費用も膨大で利益がたった1万円かもしれませんし、年商1億円でも費用がもし1000万円だったら、利益が9000万円出ることになります。その場合は後者の方が収益の面では優れていると判断できます。

企業の手腕を見るための「割合」

つまり、金額の大小だけで企業を見るのではなく、いかに「少ない原価で大きな利益を出しているのか」という点をチェックする必要があります。それを図るのに有効なのが「売上原価率」や「営業利益率」といった数値です。

今回は会社の状況を見るのに使える4つの数値を軽くまとめたいと思います。

1.売上原価率 ⇔ 粗利率

売上原価率は「企業が商品やサービスの仕入れの時や製造する時にかかる費用が、売上高の中でどれだけ占めているか」ということを教えてくれます。つまりこの原価率が低いほど、より安い原価で高い質のサービスや物を生産できていることになります。

そのため、売上原価率は

売上原価率=売上原価÷売上高

という式で計算します。例えば500円のケーキを作っているケーキ屋さんで、原材料の値段が1個当たり200円かかっているとするならば、売上原価率は40%ということになります。

ちなみに、「売上総利益率(別名:粗利率)」という言葉がありますが、これは売上原価率の対となる言葉です。「粗利率」は売上高のうち、どれくらいの粗利が取れているかを示すものですので、上のケーキ屋さんの場合、100%から原価率を引いて60%が粗利率と言えます。

2.販管費率

次にご紹介する「販管費率」は、「販管費」に着目したものです。「販管費」とはお店の賃料や人件費など、販売や管理にかかる費用のことでしたね。

つまり「販管費率」を見ることで、その会社を運営するのにどの程度のコストがかかっているかを知ることができます。普通はこの比率が低いほど、効率良く会社が運営できていると言うことができます。

販管費率の求め方は

販管費率=販管費÷売上高

となりますので、先ほどのケーキ屋さんで500円のケーキに対し販管費が100円ですと、販管費率は「20%」となります。

3.営業利益率

最後に「営業利益率」です。営業利益率は実際に会社が売り上げた金額のうち、事業で得ている利益である「営業利益」の割合を知ることができます。つまり、

営業利益率=営業利益÷売上高

で求められるものとなります。先ほどのケーキ屋さんですと、500円のケーキから原価や販管費を引いた営業利益は200円となりますので、営業利益率は「40%」ということができます。

いかがだったでしょうか?今回で3回の記事に渡ってお届けした「損益計算書で見るべきポイント」は終わりです。1回で全ての単語を覚えるのは難しいと思いますので、必要になる都度復習するのが良いと思います。

それでは、【次回の記事】から「貸借対照表」、通称バランスシートの解説に移りたいと思います。

損益計算書より若干見るポイントが増えますが、これを見る方法を知れれば、その会社の「資産」が丸わかりになる大変便利なものです。この調子で是非マスターしていきましょう。

(⑦に続く)