貸借対照表をざっくり切る!~お金の集め方、使い方~

バスの運転手で考えれば怖くない!

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あなたの家にあるもの、すべての価値を金額にしたことありますか?例えば、冷蔵庫や洗濯機といった家電を今売ったらいくらになるのか、それをまとめたことはきっとないでしょう。しかし、会社は毎年丁寧にまとめてくれているのです。

今回から「貸借対照表」の解説に入っていきます。一般的には損益計算書よりも少し難しいと言われていますが、見るべきところだけをゆっくり嚙み砕いて理解していけば全く難しくありません。

そして見方を一度わかってしまえば、知りたいあの会社が転覆しそうなのどうかが一目でわかってしまう、あなたの最強の武器となるのです。是非この機に学んでいきましょう!

損益計算書の解説→【こちら】

なぜ社会人は企業の会計を知っておくべきなのか、「ビジネスに使える企業会計」の初回の記事は【こちら】になります。まだお読みでない方はこちらからお読みください。
これだけ知ろう!企業会計の基礎⑦

貸借対照表~その①~

前回の損益計算書とどう違うのか?

企業の会計を示してくれる財務3表の2つ目がこの「貸借対照表」です。前回じっくり解説した「損益計算書」とはどう違うのか?という質問があるとすれば、この貸借対照表は「注目している場所そのものが違う」という答えになります。

どの企業も「お金を集める」、「投資する」、「利益を出す」という3つの活動を必ずしているということでした。(3つの活動は【この記事】で詳しく述べております。)

損益計算書は売上に対して費用はどうか?という、一番最後の「利益を出す」側面に着目したのに対し、今回から解説する貸借対照表はどう「お金を集め」、どう「投資した」のか、という前2つの段階を表しているのです。

そして、そもそもの話として損益計算書と貸借対照表は「見ている視点」が違うともいえます。どういうことか、簡単な例を交えて考えていきましょう。

バスに何人乗っていますか?

難しいことは簡単な例で考えてみるのが一番わかりやすいと思いますので、会社のお金を「バスに乗っている人数と考えてみましょう。そしてバス停の1区間が「1年」と考えます。

前回の損益計算書は1つのバス停で何人乗って、何人降りたかをまとめています。バス停に着いたら、運転手さんが「病院前のバス停で3人乗って、2人降りた」とレポートしているのです。

乗車する人が下車する人より多かったら、バスに乗っている人は増えていますよね。つまり、その年は利益が出た、黒字であった、ということがわかります。しかし、これだけ書いていても「バスに乗っている人数がわからない」という難点があります。

例えば、「病院前バス停で3人乗って2人降りました。次の学校前バス停で5人乗って3人降りました。ではこの時バスに何人乗っているでしょうか?」という問題が出されたら私たちは解答しようがありません。

そこで、運転手さんはバス停毎に乗降人数のレポートの他に、「病院前の時点で子供が8人、サラリーマンが3人、おじいさんが4人乗ってる」という「バスの乗客の内訳」レポートもまとめています。これが「貸借対照表」なのです。

つまり、損益計算書が1年という「時間」でまとめているのに対して、貸借対照表は「ある1点」での状況をまとめていると言えます。

右で集めて左で使う

さて、貸借対照表の性質をざっくりわかったところで、この表を読み解くために前提条件をゆっくり理解していきましょう。

相変わらず、数字や難しい漢字が並んでいてとっつきにくそうなオーラを出していますので、まずはどういう構成をしているのかを学びましょう。

表は2段になっていますが、この左と右は活動の違いで分けられています。

右側=集め方

右側が表しているもの、これは「お金の集め方」です。

例えば、あなたは200万円分のお金を集めているとしたら、その内訳を書いてあります。あなたが今まで働いてきたことで稼いで貯めてきたお金が150万円、そして、親に借金しているお金が50万円、というのが一例でしょう。

つまり、会社のお金を「どの手段」で「どれくらいの金額集めてきた」か、という状況をまとめた物になります。

左側=使い方、持ち方

一方で左側で書かれているもの、これは「お金の使い方」、つまり「投資の仕方」です。右で集めてきたお金の総額をどのように使っているか、持っているかをまとめたものになります。

先ほどの例の続きでいえば、あなたが集めてきた200万円をどういう形で持っているかを考えてみましょう。この200万円のうち、テレビや冷蔵庫といった家電製品は今30万円分の価値がある、というように「持っている資産」に「投資した」と考えていきます。

そして、趣味の家にあるマンガは合わせたら10万円分。持っている服は合わせて10万円分。残り150万円は現金と預金で持っている。これで集めた200万円はどう使われていたか、と細かくまとめることが出来ると思います。

つまり、左側は会社が集めたお金を、現金でいくら持っているか、土地や機械といった資産にいくら投資しているか、という状況をまとめたものになります。

貸借対照表が2段に分かれている理由はおわかりいただけましたでしょうか?それでは次にもっと細かく会社を知るための見方を【貸借対照表のその②】で見ていきたいと思います。

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