ピケティの経済学は言う「働いても負け」と

r>gの式が教えてくれる、働けど稼げない理由

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 「r>g」

この式をご存知でしょうか?現代社会の答えがここにあるといっても過言ではないほど、重要なメッセージを発しているのです。この式を簡単に説明すると、この言葉につきます。

「働いても全然生活が豊かにならないなぁ」

お金を持っている人は何もしなくてもどんどんお金が増えていくのに、あなたはどんなに働いてもお金がもらえない。この状況に違和感を持ったことはありませんか?

お金持ちの子どもはお金持ちにというように、生まれた環境からして格差が生じて抜け出せない。これはとある経済学で論理的に説明されていたのです。

今回は一時期大変話題になった「ピケティの経済学」についてご紹介します。ここにあなたのお金に対する考え方が一気に変わるヒントが隠されていました。精いっぱい働くだけではダメだったのです。

ピケティの経済学①

 そもそもピケティの経済学とは?

「トマ・ピケティ」はフランスの経済学者です。彼は「経済的不平等」を専門にしており、その研究を著した本が2014年に『21世紀の資本』として出版されました。

この本は始めにフランス語版から、その後様々な国の言語に翻訳されて出版され、累計で160万部以上が売れているベストセラーとなりました。

しかし、驚くほど売れているこの本ですが、内容が大変重厚なものになっています。例えば日本語版は定価が6000円近く、ページ数は700ページを超えるものとなっており、一般人が気軽に読めるものではありません。

そこで、今回のシリーズではこの本がなぜそのようなベストセラーとなったのか、その理論をあなたにもわかるようにかみ砕いて解説し、それを踏まえた上で我々にできる「お金の捉え方」を見たいと思います。

ピケティさんが言いたかったこと

細かい背景等は後ほどにゆっくり説明しますが、この本は何が斬新なのかという結論を先に述べましょう。ピケティさんは

「資本収益率(r)が経済成長率(g)よりも常に高い状態にある」

ということを世界で初めて証明した、ということが今回のすごい点になります。これが冒頭の「r>g」の式になります。

この単語だけ聞いても、いまだにわかりづらいと思いますので、より細かく注目してみましょう。

rは「投資の増え方」、gは「働く増え方」

「r>g」の「r」の部分からご説明しましょう。「r」は株や預金、不動産などのあらゆる「資本」から得られる利益のことです。

例えば、株を持っていれば配当金という形で利益がもらえますし、マンションを持っていればそれを貸し出すことでお金がもらえます。このように「持っているお金を投資することによって得られる利益」の割合が「r」です。

一方で、「g」は経済の成長、すなわち企業が成長する割合を指しています。経済の成長というとあまりイメージが湧きにくいですが、簡単に言ってしまえばあなたのお給料が増える割合のことです。

例えば日本という国が成長すれば、そこで働くみんなの給料も基本的には同じ割合で増えていきます。この割合を「g」としているのです。

しかし、ピケティさんは「r>g」、すなわち投資の伸び率は賃金の上昇率よりも高いと言うことを示している、ということになります。これはよく考えると恐ろしい事実なのです。

本当に恐ろしい「r>g」

この式が表すこと、それは「金持ちは金持ちのまま、貧乏人は貧乏人のまま」という恐ろしい状況です。

ここで投資しているとお金が増える割合(r)を5%、働くことによって得られるお金の増える割合(g)を1%としましょう。

1000万円持っているお金持ちはそれらを投資することによって、年間5%増えます。すると、次の年には1050万円になっています。この50万円は何もしていなくてもお金がお金を増やしているのです。

しかし貧乏な人は投資に回せる金額が少ない上に、そもそも投資するという「アイデア」すらありませんので、働くことしかできません。その人が月収20万円で働いているとしたら、頑張っても昇給などがない限り、翌年の月収は20万2000円です。

つまりいくら頑張って働いても普通の社会のシステムで働いている限り、投資している以上のお金は得られないと言うことが証明されてしまったのです。

日々必死に働いている我々にとって、このような経済学的な証明は残酷ともいえるでしょう。それでは、このような証明がされている中でどうすればあなたが状況を打破できるのでしょうか?【次回の記事】ではピケティの主張をさらに深く探ってみましょう。(②に続く)

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