2008年に発生したリーマンショックによって、多くの会社が倒産を余儀なくされ、多くのサラリーマンが職を失うこととなったのです。
何の備えもしていなかった人たちは、会社に言われるがままにリストラに遭い、新しい職を見つけることもできず、生活を送ることすら危機的な状況であったことでしょう。
しかし、なぜアメリカで発生したリーマンショックの影響が日本にまで飛び火したのでしょうか?
今回の記事では、何故リーマンショックはあれほど大きな影響を日本に及ぼしたのかについて整理します。そして、再び経済危機が発生したとき、あなたが生き残るにはどうすればよいのか、一緒に考えていきましょう。
対岸の火事から飛び火した日本
日本はリーマンショックの原因となった「サブプライムローン」にあまり関わっていなかったため、直接的なダメージはそれほど大きくないだろうという見通しがありました。
というのも、日本人は1990年代に日本国内の不動産や株のバブルとその崩壊を体験しています。この教訓から、アメリカの加熱しすぎている不動産バブルには慎重な見方の人が多かったのです。
そのため、はじめは対岸の火事のようにあまり影響しないだろうと考えられていましたが、経済危機が深刻になるにつれて、結局は日本もその渦に巻き込まれてしまいました。
具体的に数字で見てみると、日本の株価や景気の指標ともいえる日経平均株価がリーマンショックによって約13500円から約7000円まで下げています。
つまり、日本の大企業の株価がほとんど半分になってしまった、もっと簡単な言い方をすれば、日本のほとんどの会社の価値が半分になってしまったということになります。
冷静に考えて大変恐ろしい事態、これが「リーマンショック」の日本における影響だったのです。では、なぜサブプライムローンに直接関わっていない日本の景気まで悪くなってしまったのでしょうか?
何か起こると円は買われる
日本の景気が悪くなった主な原因の一つはこの一連の経済危機を受けた円高です。
世界には日本円の他にドルやユーロといった様々な通貨がありますが、日本の円はその中でも「安全資産」と呼ばれています。そして、安全資産はこのような大規模な経済危機や戦争、テロなどの非常事態の場合に買われる傾向があるのです。
例えるなら、ユーロやドルは家の外で、円はあなたの自宅です。普段は外に出て活動しますが、突然の大雨が起きたらとりあえず安全な自宅に帰ると思います。
これと同じように、リーマンショックでも、持っている資産をとりあえず比較的安全な日本円に両替しておこうという人が多かった。
それによって、円が買われていき、どんどん円の価値が上がる、つまり「円高」へと変化したのです。1ドル110円だった円はリーマンショック後に1ドル80円台まで下がっております。
急激な円高で日本は重い病を患う
日本の貿易を全体で見てみると、自動車や鉄鋼などを輸出して収益を上げています。そのため、円高の状況は輸出企業には圧倒的に不利なのです。
わかりやすくするために自動車の例で考えてみましょう。アメリカで、1台1万ドルの価格で売られていた日本車は、リーマンショック前は日本円にすると110万円で売られていたることになります。
しかし、この状況が1ドルが80円になると、1台当たりの値段は80万円まで下がってしまい、結果的に同じものを作っているのに30万円分利益が減っています。
そして、このような利益が出にくい状況が発生すると、輸出で成り立つ製造業の業績は悪くなります。
すると、これらの製造業を営む会社の経営者は「原材料や人件費などが円高で高くなってしまう日本で作って輸出するのではなく、実際に売る場所やコストがかからない地域で作ろう」という考えになります。
このように製造業が海外生産の方針に転換すると、大企業の工場がそろって海外に移転するという「産業の空洞化」が発生し、その大企業の下請けなどの形で生計を立てていた中小の企業は仕事がなくなり、結果として倒産してしまいます。
さらに、この影響は製造業だけにとどまらず、日本全体の経済に飛び火していきました。このことについて、【続きの記事】で説明させていただきます。(⑥に続く)