「先天的音楽機能不全」この単語をご存知ですか?実は歌が下手なことを指す「オンチ」の正式名称だそうです。しかし、こんな単語知らなくても、音程がずれている歌を聞いたらオンチだと思うでしょう。つまり難しい単語をそのまま覚える必要は全くないのです。
【前回の記事】では、なぜ企業が会計をまとめるのか、会社の活動とは何かという側面からお話ししました。
今回から具体的に財務諸表の中に説明に入ってきます。難しい単語は出てきますが、今回の記事では初心者がつまづきやすい難しい単語を具体例を交えながらざっと理解できるように解説しておりますので、軽く読んでいただければと思います。
企業がわかる三種の神器=財務3表
財務諸表の中でも重要な3つの表を「財務3表」と言われています。私たちが会計を理解するためには、この3つの表がそれぞれ表す内容の意味が分かるということが1つの目標となります。
財務3表は「損益計算書」と「貸借対照表」、「キャッシュフロー計算書」の3つからできています。今回はそれぞれの表が意味するところをざっくりと説明します。
この3つの表の性質を理解するためには、前回の記事でご紹介した「企業の3つの活動」の理解が欠かせません。忘れてしまった方は一度【こちら】から復習しましょう。
1.損益計算書(PL)
「損益計算書」は会社が事業を行って、その結果として利益をいくらが出たのかをまとめたものになります。つまり、3つの活動の中では「利益を出す」の部分をピックアップしたものになります。この表を見ることによって、ただ利益の額だけではなくそこにかかっている費用なども理解できるのです。
ここではあなた自身を1つの会社に例えてみましょう。給料が毎月25万円、これは「売上」になります。ここから家賃や食費といった「費用」を引いていって最後に残るお金が「利益」となります。これらの金額がそれぞれいくらかまとめたものが損益計算書(PL)となるのです。
このPLは企業の規模の大小の他にも、どういうお金の生み出し方をしているのかという情報もわかります。
例えば、月収が100万円の人と20万円の人、この数字だけでは前者の方がすごいように見えます。しかし、月収100万円の人は家賃とか借金の返済などで毎月99万円使っている場合、手元には1万円しか残らず「無駄遣いが多い人だな」とわかります。一方で、月に20万しかもらっていなくても、実家暮らしなどで出費が10万円しかなければ、毎月10万円が貯金できる効率的なお金の使い方ができる人だとわかります。このように見極められるのが「損益計算書」です。
2.貸借対照表(BS)
次の「貸借対照表」は毎年の決算時に企業が持っている資産と、そのうち借金と会社自身のお金がそれぞれいくらかをまとめたものになります。この貸借対照表は企業の「お金集め」と「投資」の活動をまとめたものになります。
これもあなたを会社に例えてみましょう。あなたの家の中を思い出してみてください。テレビ、パソコンや持っている現金、これらはあなたの「資産」です。
一方で、この資産をどうやって手に入れたか思い出してみてください。そのうち自分のお金で買った金額は「純資産」となり、例えば家族に一時的にお金を借りて買って、後に返すという物があればそれは「負債」(借金)となります。
つまり、このBSではどうやってお金を集めたか、何に使ったかがわかると言うことになります。同じ1億円の家を持ってる人でも、ローンを組み借金することで買った人と自分の貯金から出した人では全く違いますよね。こういった情報を判別するのが「貸借対照表」です。
3.キャッシュフロー計算書(CF)
最後に「キャッシュフロー計算書」です。これが一番理解が難しいところですが、簡単に言うと会社が「いくら現金を持っているか」を表したものとなります。現金(キャッシュ)の流れ(フロー)を表したものということです。
実は上で述べた貸借対照表でも現金の量はわかります。しかし、このCFでは持っている現金の量に合わせて現金の「質」までわかるのです。
例えば、あなたが部下2人に明日10万円持ってくるように指示して、AさんとBさんが二人とも持ってきたとしましょう。これで現金を二人とも10万円持っている、とわかるのが2の貸借対照表です。
しかし、Aさんは自分のお金があったのでATMからおろして持ってきたのに対し、Bさんはお金がギリギリであったので消費者金融で借りてきていたのです。これが現金の「質」という部分であり、今ある現金がどこから生まれたものなのかという違いがこのCFでわかるところです。
財務3表についてざっと理解することはできましたか?なんとなくそれぞれの性質がわかっていれば今は十分であると思います。それぞれの詳しい内容は今後の記事で説明していきますので、そこでそれぞれのどこに着目すればよいのか、という点も含めて理解していきましょう。
それでは、【次の記事】から財務3表の1つ目である「損益計算書」について詳しく探っていきましょう。(④へ続く)