貸借対照表は5つに分ければ誰でもわかる!

流動負債や固定資産について一発理解

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【前回の記事】から貸借対照表の説明に入りました。貸借対照表が右と左に大きく分かれていて、集め方を右側に、そしてそのお金の使い方を左側にまとめているということまでご理解いただけたと思います。

今回は具体的に集め方と使い方、それぞれがどう分かれているのかということを見ていきたいと思います。数字だらけの貸借対照表ですが、見るべきところはたった「5つ」に分かれます。

これで来年潰れそうな会社を見抜ける力をつけて、他の同僚より他社を見る目を鍛えていきましょう。

なぜ社会人は企業の会計を知っておくべきなのか、「ビジネスに使える企業会計」の初回の記事は【こちら】になります。まだお読みでない方はこちらからお読みください。
これだけ知ろう!企業会計の基礎⑧
貸借対照表~その②~

1.お金の集め方=負債+純資産

お金の集め方は大きく分けると「他人から借りているお金」と「自分で出したお金」という2つになっています。

「他人から借りているお金」つまりいずれはその人に返していく必要があるお金のことを「負債の部」といい、「自分で出したお金」なので返す必要がないお金のことを「純資産の部」といいます。

1-1.負債の部=流動負債+固定負債

「負債の部」は他人に返さないといけないお金が一覧で書いてあります。

どのようなものが負債の部に入るかというと、例えば銀行から借りてきた「借入金」であったり、材料などで他の会社から仕入れたけど、後で支払うというツケのような「買掛金」であったりが含まれます。

そして、この負債もさらに細かく分けると「流動負債」と「固定負債」に分かれます。負債が「流動」か「固定」か、これを分ける基準は「1年以内に支払う必要があるかどうか」ということになります。

例えば、買掛金は1年に支払う必要があるため「流動負債」に含まれます。未払いの法人税がある場合も必ず次の決算までには支払うことが確定しているため「流動負債」になります。

では、銀行から借りている借金はどうでしょうか?これは返済期限によってどちらかわかれます。次の年までに返す必要があるものは「流動負債」、返済期限がまだまだ先のものは「固定負債」となります。

固定と流動で翌年のお金が見える

でも、なぜわざわざ流動と固定に分けているのか、それは1年後に会社がどうなっているのかを前以て知らせるためにあるのです。

例えばA社が100万円の借金を抱えているとしましょう。事業を広げるためには銀行からお金を借り入れることは当たり前ですので、別におかしなことではありません。

ここでA社は現金として50万円持っています。ここで、100万円の借金のうち、1年以内に返さないといけないものが10万円、それ以降に返済期限があるものが90万円だったら、この会社は今年はちゃんとお金を返せそうだな、と思いますよね?

しかし、逆に今年返さなければいけない「流動負債」に90万円入っていたらどうでしょうか?あと40万円をなんとかしてかき集めてこないと、この会社は借金を返せず倒産してしまう、お金に苦しんでいるんだな、ということがわかります。

このように、次の年にちゃんと現金が足りてうまくやっていけるか、ということがわかるように「流動」と「固定」が分かれているのですね。

しかし、そもそも返す必要がないお金が多ければこんな不安もありません。それが「純資産」なのです。

1-2.純資産の部

では次に、自分で出していて返す必要がないお金である「純資産の部」について見ていきましょう。

純資産の部に含まれているお金で代表的なものが「資本金」でしょう。「資本金」とはその会社が事業をやるために株主から集めたお金のことです。

「あれ、株主から集めたなら返さないといけないお金では?」と考えてしまいがちですが、それはそもそも「株」を勘違いしていると思われます。

「株を買う」ということは「その会社の所有権を持つ」ということなのであり、つまり「株主」というのは「企業の所有者の1人」ということになります。会社の所有者のお金ですので、返す必要はないのです。

また、「利益剰余金」というものも純資産の部に含まれます。「利益剰余金」とは、前回の損益計算書で利益としてあげた金額を毎年積み上げているものです。

つまり、毎年10万円の利益を安定的に出している会社が10年続いていたら、利益剰余金が100万円ということになり、これは株主のお金以外に存在する「会社が持っているお金」となります。

以上で右側のお金の「集め方の部分」の説明は終わりです。では次に「使い方」に注目していきましょう。

2.お金の使い方=資産の部

では次に貸借対照表の左側を見ていきましょう。ここには先ほどまで解説してきた集めてきたお金をどう使ったかという「使い方」が書いてあると言いました。そして、その使い方のことを「資産の部」と言います。

さっき説明した集め方の「純資産の部」とごっちゃになりがちですが、「純資産」は「会社の純粋なお金」という意味であるのに対し、「資産の部」は「会社がどう使ってどういう状態で価値(資産)を持っているか」という意味ですので、全く違うものになります。

では資産の部の説明に戻りますが、この資産の部も同様に「流動資産」と「固定資産」に分かれます。ここまで読んできてくださったあなたなら、この分かれ方はもう理解済みだと思います。

「1年以内に現金化される予定のもの」が「流動資産」、そうではないものが「固定資産」という分け方になります。具体例をそれぞれ見てみましょう。

「流動資産」の代表例はもちろん「現金」及び「預金」です。また、モノを売ったけど、支払いが後になるツケ払いされた金額である「売掛金」も次の年までには現金でもらえるので「流動資産」となります。

一方で「固定資産」の代表例は会社の持っている「土地」や「機械」といったものです。もちろんこれらのものも、無理やり売れば1年以内に現金化することは可能ではありますが、あくまで1年以内に現金化される「予定」のものが「流動資産」になります。

つまり、会社が事業を続けるために土地や機械を売るつもりがない場合「固定資産」の方に含まれる、ということになるのです。

ここまで長々と説明してきましたが、貸借対照表で見るべき部分が5つのパーツであることがご理解いただけたと思います。

資産の部の流動資産と固定資産。負債の部の流動負債と固定負債。そして純資産。この5つの意味だけわかっていれば、会社がうまくいっているかどうか見るには十分なのです。

そして、この5つには意外な関係があり、それを使うとその会社の状況を見抜くことができるのです。

そのことについて【貸借対照表の③】の記事で見ていきましょう。(次回へ続く。)

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