借金大国日本が潰れる日④~日本人が支える日本の借金~

もしあなたがお金を借りるなら、仲のいい親友と顔見知り程度の知人、どちらに頼みますか?仲のいい親友の方がいざ何かあったとき安心できますよね?

これと同じことが国の借金でも言えます。誰に借金を頼むか、これで明暗が分かれてしまったのがギリシャと日本ということになります。

【前回の記事】は日本の政府が無茶な借金を続けていられる理由の1つ目として、日本の国には海外からたくさんのお金が毎年入ることによって貯金が出来ていることを上げました。

今回は2つ目の理由として、「日本政府の借金は日本国民が持っている」ということについて解説していきます。

お金を無駄遣いばかりの政府が発行してる借金には、知らずのうちにあなたのお金が入っています。このことについて不安になるのであれば、正しい事実を知っておきましょう。

今回のシリーズでは「日本の借金」に注目して全7回にわたって解説していきます。

・そもそも「国の借金」とはどういうものなのか?
・日本はなぜこんなに借金をして潰れていないのか? (⇐ココ)
・日本は今後も本当に潰れないのか?
・日本であなたがこれから生きるために必要なこととは?

シリーズの第1回目の記事は【こちら】になりますので、まだお読みでない方はこちらからどうぞ。

借金大国日本のナゾとこれから③

政府の借金を他の国の人が持つと危ない

2015年にギリシャの経済が破綻の危機になったというニュースを耳にしたのではないでしょうか?

ギリシャ危機について述べ始めると、EUとの関係等も考慮しなければならなくなるため、今回は省略しますが、簡単に説明すると、国の財政状況にウソが見つかったため、ギリシャ政府の信用が落ちてしまいギリシャの国債も暴落した、というものです。

これを受けて「日本も借金で破綻する」という主張もありましたが、根本的にギリシャと日本は異なっています。それは、「誰がその国の国債を持っているか」という点です。

ギリシャも日本と同様に政府のお金が足りず、同様に借金を発行してきました。しかし、ギリシャの「国」、つまり国民や企業もお金がなかったので、政府の借金をギリシャの中で買うことができなかったのです。

ギリシャの政府が発行した借金のうち、国の中で売れたのは発行した分のたった「3割」だったそうです。では、その国の中で借金が売れなかった「7割」はどうなるか、次は他の国の人に買ってもらうしかありません。

こうしてギリシャの国債の7割は外国の投資家が買うという状況になっていました。しかし、公債を発行してる国以外の人が持つという状況は大変危険なのです。

ギリシャの場合であれば、ギリシャが怪しくなったら、外国の投資家たちは「国債を現金にして返してくれ」と一斉に言い出します。しかし国は返すお金がないことは自明ですので、皆国債を手放そうとします。その結果、2015年にギリシャは破産寸前までなったのです。

では日本の政府の借金は?というと、ギリシャとは全く異なり、ほとんど日本国内で所有されている状況なのです。

「円」だから海外の人が少ない

2017年時点では、日本の政府が発行してる借金の金額のうち、日本国内で持っている割合は「95%」と言われています。つまり、ほとんど外国人のお金に頼っていないのです。

なぜ日本の国債は海外の投資家に売れないのか。それは世界で「円」を使っているのが日本だけだからです。

日本国債を買う、ということは普段はドルやユーロといった外国の通貨を使っている投資家の人も日本円を使わなければいけません。

しかし、通貨の交換の比率、つまり為替レートというのは日々変動しています。そのため、外国の人たちが利益を上げようと日本の国債を買っても、為替が変動したら損になってしまう可能性があります。

一方でギリシャはEUの一部だったため、ユーロを導入していました。その結果ユーロ圏の投資家はギリシャ国債を比較的購入できたことになります。同じユーロという通貨であるため、為替の影響を受けなかったのです。

それと比較すれば、日本の円は日本人以外基本的に使っていません。その結果、日本人以外が国債を買ってもすぐ売ってしまうことが多く、安定して長期間持っているのは日本人だけとなります。

理由②:日本政府の借金は日本人が持っている

投資家が自分の国以外の国債をわざわざ買うということは、高いリターンを狙うことが目的にあります。

つまり、その国はダメそうだ、利益が出なさそうだと思われると一気に見捨てられてしまいますし、ギリシャは実際にこの状況に陥りました。

一方、国内の所有者である投資家や金融機関は、そのような人たちに比べると大きなリターンはあまり狙っているわけではありません。

その結果、短い期間で売り買いするというよりは、長期間保有することで現金よりも少し高めの安定した収益を目指しています。少し状況が悪くなっても一気に売られないため、価格と信用の安定が見込めます。

つまり、今の日本が大量の借金を発行していても成り立っている理由の2つ目は「ほとんどを日本人が持っているから」ということになります。

そうはいっても、日本国内のお金も国債を買い続けたらなくなってしまうのではないか、と不安になるかもしれません。しかし、日本人のお金は海外にもたくさん存在するのです。

次は海外にある日本の資産という観点から3つ目の理由を【日本の破綻⑤】で見ていきましょう。(⑤に続く)